室蘭やきとりとは今昔本店
明治42年、溶鉱炉に火が灯ってから100年あまりになります。室蘭は鉄、そして工業のまちとして繁栄してきました。
そこに働く労働者の胃袋を満たしてきた代表的な食べ物、それが"やきとり"だったのです。昭和12年からの日中戦争の時代に、食糧増産のため、農家が豚を飼うようになりました。
昭和14年には、一般の靴生産は中止され、中皮不足から軍は豚の皮を軍靴に用いるため、養豚を大いに奨励。室蘭では豚の皮と肉以外は食べてもよいことになり、屋台などで豚の内臓(モツ)が売られるようになりました。
モツのほか、当時は野鳥も串焼きにして食べていたことから、それが現在の"やきとり"の語源の由来ともいわれています。そしてその後、徐々に「豚肉、玉ねぎ、洋がらし」のスタイルが"やきとり"として定着してきました。
食糧事情の悪かった時代から、豚肉の動物性タンパク質と玉ねぎ、洋がらしの絶妙な組み合わせが、労働者の貴重なエネルギー源となり、延いては、明日への活力源でもありました。そして「安い、早い、うまい」の三拍子を兼ね備えた身近な食べ物として、昔と変わらない、確固たる形態を今日まで継承しています。